サザエのつぼ焼き

いただきもののサザエのつぼ焼きと格闘してきた。

フタが奥へ引っ込んでしまっていて、爪楊枝を差し込むすきまがなかったのだ。ザラザラとしたフタの表面を滑るばかりでどんどん削れていくつまようじは、江戸時代の歯ブラシかと思われるほどに先端が避けてケバケバになっていった。

すきまを作るべくフタの片端を押し込んでみれば、じゅわりと汁があふれてくる。焦らされている気分で行儀悪く汁を吸って、つまようじではらちが明かないと持ち出したのはフォークだ。口に対して幅が広すぎるので、本当ならマイナスドライバーが使いたい。

片端を押し込んで浮いたもう片端へフォークの先をひっかけて、かりかりと少しずつゆすって引きずり出す。ひっかけきれずにフタからフォークが外れると、カリンバのような音がした。

フォークでは扱いづらい、とつまようじに持ち替え、つまようじが折れたからとフォークに持ち替え、つまようじ三本が殉職した頃、ようやくフタが外れ、サザエの身を引き出すことに成功した。ぎゅっと締まった身の弾力と一緒に、旨味と苦味と達成感を味わった夕食だった。

身を取り出すのに休憩挟みつつ20分くらいかかってた気がするけど、食べるのは一瞬でした。おいしかった。

かつて祖父がなにに使うでもなくサザエのフタを集めていたのを思い出しました。おもしろい形してますよね、サザエ本体も、フタも。